9月例会の報告

平成21年9月20日 草津まちづくりセンター  

   午前9時40分~午後16時30分まで   

内容  
午前「臨床あれこれ」          久保田浩彦先生 
   「肺の生理について」        木村知恵先生                
        
午後「取穴」      
   「奇経治療」      
   「基本刺鍼」       
   「小里方式」
  

午前
今月は、二木清文先生による挨拶であった。始めに、八月末に行われた岸田美由紀先生著書の「ていしん入門」に基づくDVD撮影のお話であった。詳細に書かれた本の内容が、映像としても補われるという事は伝わるものが大きくなるであろうと、期待溢れる内容であった。次に、先日鳩山首相が就任されたということから政権交代を経て政治の大きな移り変わりが我々にどのような影響があるのか等お話し頂いた。そして、最後には二木先生が先日老人ホームの慰問に行かれた話からその後実際に臨床室に入られ感じられた指圧・マッサージ施術後の鍼灸術手技への影響性・感覚の発見など話され、多岐に渡るないようであった。

午前、最初の講義は久保田浩彦先生による臨床あれこれであった。病院でお勤めの久保田先生は、今回臨床室から「糖尿病(DM)」のお話をしてくださった。見事にまとめ上げられた資料を基に、糖尿病の詳細から、すぐにでも検診の目安が分かる日頃の危険度チェック一覧表を合間に入れたりと聞き手も参加型のお話で、楽しみながらもしっかりと学ぶことができた。その他にも、食事・運動に関する簡便な表を資料に織り込んでくださったことから、とても分かりやすいご講義であった。近年、日々近代化が進む世の中で、生活が便利になったことから運動不足・食レベルの低下などに繋がり増加していくばかりの糖尿病患者数。多くの先生方が臨床室でも糖尿病と闘う方と出会う機会が多いのではなかろうか。そのような中、久保田先生のご講義は、すぐにでも臨床に役立つ知識の蓄えとなったのであった。

次に、木村知恵先生による「肺の生理ついて」であった。肺の古典講義風景2での位置づけや、働きから肺と各臓との関係、それから病理までお話し頂いた。ご自身の症例もあげながらのお話で、実に分かりやすく、その後は各自風邪のの予防法を参加者の先生方からも伺えるなどわきあいあいとしつつも今後の感染症予防の姿勢の変化にも繋がる充実した時間となった。木村先生は愛用されているまいマスクでの予防法を紹介され、最近の気候の変化にも負けぬよう、まずは自己管理を徹底して行かねばと感じたのであった。最近の身の回りの旬の果樹の変化や、この会場に来られる際には秋風を感じつつ向かわれたお話などさわやかな挨拶を去れ、始終秋風に包まれるような柔らかい空間でのご講義であった。
 

午後 
午後は、まず膀胱経・心経の取穴からであった。膀胱経では、足で取穴風景の取穴法として、赤白肉間という言葉が出てくる。理解しているようで少しあやふやになりがちであるが、今回これの見極めが容易にできる法を学ぶことができた。触れながら感覚を澄まして見極めてゆき、その後改めて目で見てみても赤肉と白肉間の境目がハッキリと理解できた。次に、奇経治療を行った。それぞれのベットに別れ、肩上部のこりや、腰部の症状などがあげられるなか、治療の即効性の再確認を実感したのであった。奇経治療ならではの経穴取穴では本来の経穴にプラス、比較としての取穴についても学ぶことができた。奇形実技の中でも特に、ベテラン先生の素早いツボの確認が印象的であった。効果を改めて感じることも大切ながら、毎回の実技でベテランの先生の触診姿や、手技風景を間近に見て、感じて学べることは実に貴重であることと感じたのであった。

次は、お腹に基本刺鍼を行い、手技の確認を行った。この際、一基本刺鍼実技風景本の鍼で脈・腹・肩上部までとても大きな変化が出る。この三点セット以外にももちろん情報源は多々あるが、この腹部での刺鍼は、見事に手技レベルが現れる。この基本刺鍼では、研修会ではお互いの身体から学ぶが、自分の腹でもできることから腹部での修練を欠かさない事で手技レベルの向上に直結する。まず腹診・切診からからだが欲する手技を予測してから行った。身体が必要としない手技では、理の開きや腹部が堅くなったりととてもハッキリと変化が現れた。先日の夏期研でも二木先生がこの修練の必要性を強く訴えられていたように、修練を怠らぬなら必ず身となるのがこの画期的な修練方法であるのだ。手技レベルの向上としてこの重要性がひしひしとみに浸みる充実した時間であった。

午後の後半は、今回も小里方式ではベッド三台に別れ、それぞれのベッドでベテランの指導者の先生の導きを受けながら病理をつかみ証決定へと移ることができた。そして、聴講生ベッドでは生内先生ご指導のもと、実際に治療を受けられた参加者の先生にはご自身のみを持って身体の変化を感じて頂くことができた。今月の例会も皆で共に学び、考え、意見を投じあい、感じることで新たな発見も多く一人一人にとって得るものが大きな例会となった。

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8月例会の報告

平成21年8月23日 草津まちづくりセンター 

   午前9時40分~午後16時30分まで   
 
内容   
午前「夏期研報告会」             参加された先生方  
   「夏期研基礎講義から学ぶ」      二木清文先生               
        
午後「取穴」 
   「菽法脉診の確認」      
   「基本刺鍼」       
   「小里方式」
    
午前
今回の挨拶は、小林久志先生による挨拶であった。今回の挨挨拶風景拶は八月ということで、丁度64年前のこの月に原爆投下・終戦があったことからさかのぼり戦争当時の話から入られた。決して忘れてはならない現実を痛感したはずの日本人が今核武装アンを出したりと過ちを繰り返そうとしている。過ちの繰り返しといえば、最近では新型インフルエンザの件でも然り。以前流行した感染症の対策に急遽大量のワクチンを入手したが移り変わる型の変化にはついてはいけず結果が伴わなかった。私たちは周りの状況・情報を鵜呑みにし振り回されるがために今までから過ちを募らせている。一つ一つ耳にはいる情報を冷静に判断する必要があるのだ。それは医療の一角をになう私たちが平和を切に願う「平和人」でいるためにも常に重要なのだと、これからの私たちの医療姿勢へとつながる話をしてくださった。そして、私たちは経絡治療という強みがあるのだからこれから来る感染症の患者への対応に揺らぎがないように自己治療を経て、自己管理を怠らないようにとのお話であった。
本日は第16回夏期学術研修会を終えて初の月例会ということで、二木清文先生司会のもと参加された先生方それぞれから感想、意見を伺う報告兼反省会から始められた。プログラム・実技授業一限ずつ切り分けて報告会が進められ、夏期研での充実した時間の中で、得られたものまた疑問に思ったものが次々と出てきたので今後滋賀漢方全体の課題とできた。今回の講義は二木清文先生による「脉診・脉論について」では、夏期研での新井康弘先生の基調講義が題材とされた。聞き手が理解しやすいように1証決定とは何か、2陽経の治療についての二本柱を立て話を進められた。まず、証とは、病の本体であり、治療目標である。そしてそれは病理へとつながる。その病理があくまで仮説であるのだから仮説・検証(軽擦)・実証のステップを踏むことが大切であると学ぶことができた。次に、陽経の見方のお話では夏期研のお話も織りまぜ菽法脉診の脉位の話から、陰経の処置後の脉表面上の異変はどう見るのか、そして我々がとらわれがちな陰主陽従の話など多岐に渡りお話しして頂いた。最後には二木先生の臨床室から陽経の処置例を出してまとめられた。今回は夏期研の熱気覚めやらず実に盛りだくさんの内容であった。
 
午後 
午後は、まず腎経・小腸経の取穴からであった。腎経の原穴の取り方は、取穴法通りにとってしまうと要注意であることを学んだ。患者の仰臥位の姿勢では、実際は教科書通りの足関節の角度とはいかないからである。他にも代表的なもので、上肢の位置により肩甲骨の下角の位置は大きく変わる。そして、一瞬惑わされやすい代表である。治療は解剖学的肢位で行うはずはなく、解剖・運動学の知識を固め常に患者の筋骨経絡へのイメージをしておかねばならないことを強く感じた時間となった。
 
次に、午前の二木清文先生の講義でもあげられた菽法脉脈診実技風景診の実技を行った。私たちは脉位をしっかりとつかめているのか、沈めることは得意でも浮かせることが苦手な方が多い中今回は特に夏期研では9菽の取り方のまばらさが目立ったという先生のご意見が上がったことから、皆で見直し再確認を行うことができた。聴講生の方もベテランの先生と一対一の時間も設けて脉位の変化をしっかりと感じられたようである。続いて基本刺鍼では、ペアを組み衛気営気の手法を行った。今月は、夏期研後ということで様々な意見がいつも以上に飛び交っていた。お互いの身体で基本刺鍼を確かめ合うこの時間がしっかりと取られることで毎回気づきがあり、自分の過ちを見直すことができるのである。皆で学ぶこの場があるからこそできることであり、ベテランの先生から学生まで一緒に学ぶこの機会がいかに貴重な機会であるかを常に感じるのであった。
 午後の後半は、ベット三台に分かれての小里方式を行った。聴小里式実技風景講班では二木清文先生のご指導であった。今回は初めての参加の方お二人と共に学ぶこともできた。そして基礎班と研修班は今回合同で行ってゆき、小林久志先生、岸田先生ご指導のもと二人のモデル患者を皆で治療したのであった。基礎班、研修班では夏期研後ということもあり、参加された先生がベットに上がった際には夏期研時の証決定への手順と治療方法など雰囲気も聞きつつ、それとは別に現在の証決定を病理考察をした上で進めていったのである。夏期研後で今後の課題もそれぞれに備え、モチベーションの上がっていることから和気藹々と学ぶ中にも暑い熱気で溢れた月例会となった。

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