11月例会の報告

平成21年11月15日 草津まちづくりセンター 
   午前9時40分~午後16時30分まで   

内容
午前「臨床あれこれ」            土井真琴先生        
   「脉診・脉論について」        二木清文先生                
        
午後「取穴」       
   「補助療法」        
   「基本刺鍼」        
   「小里方式」
    

午前
今月の例会は、まず小林久志先生による会長挨拶であ会長挨拶風景った。今回の挨拶は、近年の自然界の生態を踏まえながら気候の変化のお話から爽やかな挨拶が始められた。先月の例会は日本伝統鍼灸学会への参加に振り返られたことからこのような大きな学会に参加することは勉強になるうえに他団体との交流ができるというとても刺激ある貴重な場となるとのお話であった。この刺激で、現在の漢方鍼医会の立ち位置を見ることも可能で、会の足りぬ点に気付くこともあれば、良き点を再確認できる場でもあるのだ。他団体が集まる大きな場、そこで共に学び会う意義を強く訴えられた。その学会で発表された印象的な先生のお話に触れられ、難病のお話が出ていたことで最後は今年また難病疾患登録が増えている今日に漢方医の大きな役割を御提示された。

午前、最初の講義は土井真琴先生による臨床あれこれで、「開講義風景業について」のお話であった。滋賀で二木清文先生の元で助手として修行をつまれた後、京都で開業されて半年がたたれた土井先生。開業に至るまでの期間、どのような準備が必要であるのか後輩へのメッセージも込めてご自身の経験をもとに奮闘記も交えて話された。一口に開業といっても、実際どのくらいの期間がかかるのか、予算分配、治療院内の構成からコンセプトまで、今後開業しようという後輩達にとってとても心強いお話なのであった。その中でも、特に印象的だったものは土井先生が治療院開業にむけて「自分らしさ」を常に意識されていたことだ。そのこだわりの空間を出すためには、鍼灸院という枠にとらわれず、様々な場を見学されたとのこと。常に頭の中で構成をイメージしてアンテナを張り巡らせる事が大切とのお話であった。人との出会いを重んじ、大切に、自らの貴重な糧とされる土井先生。お話からも、人としてとても素敵な方だという印象をとても感じるのであった。立派な先輩の経験談とお姿を目前にし、心強い道しるべに感じたのであった。

次は、二木清文先生による講義である。伝統鍼灸学会と本部の4人の先生を迎えての連続講義ディスカッションの復習であった。学会一日目については、印象深かった先生のお話を深く掘り下げて、現在、そして今後の鍼灸界の問題点を鋭く切っていかれた。二日目の一般発表や実技では、それぞれの先生から新鮮な発見と刺激を頂きつつ、他会との大きな違いを「人を見て自分を知る」という言葉を用い、このような場で学ぶ意義を今日の会長のご挨拶に続き伝えられた。この機を逃さずに来年の会場、福岡にむけていける人は是非参加して欲しい。と締めくくられたのであった。本部でのディスカッションからは、「胃の気の脉」を取り上げられ、各々の胃の気へのイメージが異なるというのに同じものをみているように話を進めても、あやふやなものとして話し合いが続いてしまう注意点を述べられた。講義後の質疑の時間でも質問が上げられていたが、二木先生の考える胃の気の脉とはどのように捉えられているのか、最後に教えて頂くことができた。細かな部分部分だけをみず、老若男女関わらず患者の後をイメージして脉を感じることの大切さを感じたのであった。
 

午後
午後は、まず脾経・大腸経の取穴からであった。脾経では、赤白肉間をしっかりと見極め、特に大都から太白穴にかけては弧を描くように経絡をみることができ、ここは経穴が移動している方も多く、外反母趾の患者の場合はどうなるかなど質問も飛び交っていた。大腸経取穴時には、モデル点を確実に取穴できるよう基本を固め、さらに今回はベテランの先生の最近の臨床でのお話を聞くことができ、大変充実した時間であった。

次に、補助療法として円皮鍼の実技を行った。意外と刺入方法をし円皮鍼実技風景らずに、痛みなく刺入することが困難な方もおられるよう。今回はその刺入方法はもちろん、ベテランの先生が臨床室で使われる才の刺入目標とする部位の探し方までご教授頂いた。痛む局所ばかりみずに、治療を進める上で経絡を意識することが臨床ではとても大切なことだとのこと。そして、今回腰痛がある肩に実際行った際には、とても動きが軽くスムーズになり効果を実感して頂くことができた。その後鍼を外された時のご意見をきくと、外すと痛みが少し再発したよう。あくまでも「痛み止め」なのだとベテランの先生は言われる。このように簡便で効果が絶大な分、患者への後々の行動・養生指導が大事であることも強く感じたのであった。

 続いて、基本刺鍼では、三班に分かれて腹部を使っての修練を行った。切診から衛気営気どちらが身体が求めているものかを予測し、その後実際に鍼を行ってみるのである。班の中でそれぞれの意見を述べあった後結果を手技を行うことで確認する。もし予測が外れど身体が求めていない手技を行った時の変化をみることは自らの身体をもっても、他者の身体をもっても、とても吸収すべき者に溢れているのであった。自己修練の数だけ、大きな宝となる修練方法なのである。

午後の後半は、今回も小里方式では研修班、基礎班、聴講班に分小里式実技風景かれて行った。聴講班では、今回はマンツーマンでの指導を受けられて、治療をした後のご自身の身体の変化を感じて頂いた。一つのベットにはベテランの先生もついておられ、共に学ばせて頂くことができる。毎回感じることだが、このような貴重な場で、自分の意欲と行動力しだいでとても大きな発見に出会えるのだ。ぜひ様々な方に参加して技術・意識の向上へと繋げて頂きたいと思うのである。今月は、指導者講習会の時間にDVD観賞が行われた。以前撮影が行われた岸田美由紀先生の「ていしん入門」のサンプルDVDである。来年一月にあるにき鍼灸院でのオープン例会の話などもあげられ、これから先の沢山の楽しみをひかえ、今回も例会後にもかかわらずさらなる熱気をたっぷりに充電されて実技研修に入ったのであった。