8月例会の報告

平成21年8月22日 草津まちづくりセンター    

   午前9時40分~午後16時30分まで  
内容
午前「難経読み合わせ」       水戸尚子先生     
    「補助療法について」      二木清文先生                       

午後「取穴」    
   「基本刺鍼」              
   「奇経治療」         
   「小里方式」   
午前
今回の挨拶は、小林久志先生による会長挨拶でした。まず「一つのものを成熟させるには3代かかる」という言葉がありますがそれは年代にしておよそ90年から100年あたりで、例えば先日行われ日本中が熱く燃えた高校野球もおよその年代・歴史がつづられてきて今では夏の風物詩にもなっている。野球にしろ鍼灸にしろ日本独自のものを残し時を刻んで根付いてゆき今がある。鍼灸界でも今現在からさらに先を見据えると今の若い世代が刻む時に、ホームドクターのような「信頼」で成り立つ関係を鍼灸の位置づけとして築いてゆけるのではないかと願いと期待を膨らませお話をまとめられました。

午前講義風景1

午前最初の講義は、連続講義四回目となる「難経読み合わせ」でした。今回は水戸尚子先生による講義で5難の読解進行をしていただきました。5難は寸口部の脉を縦方向に分解し、その各部分が五臓と対応するということ、人体の浅深関係を述べている。この難では東洋医学での解剖学的意味や、文中での言葉の捉え方などひっかかりをもつところそれぞれに疑問点があげられたり、そのような中特殊な脈の診方があげられたりと納得のいくまで話し合うことができました。

午前講義風景2

次に、二木清文先生による「補助療法について」のお話でした。後半も前回に引き続く連続講義4回目で今回は奇経治療の話でした。奇経は、取穴が少し異なることで注意点はあるが、即効性のある効果・遠距離(電話越しに急な症状で困っている患者さんに伝えながら治療するなど)治療も可能で開業間なしの人にはかなり心強いものであります。各奇経での着眼点や主な病症の話では一つ一つに二木先生の助手時代から今までの特に印象深い症例を伺うことができました。二木先生は助手時代に奇経に関してもかなりの経験をつまれて便利さをしかと感じられておられるのですが、今の臨床室ではほぼ使うことがないとのことでした。それというのも、「奇経を越える本治をしたい」という気持ちをもたれている故のことだとのお話で、常に高みを目指し続ける治療家としての高い意識をひしひしと感じ、治療家としての在り方を学ばせて頂きました。
午後
午後は、まず肝経・三焦経の取穴から始まりました。肝経では、臨床的により反応が出る取穴モデル点を学び、太衝穴では奇経での利用時とは取り方を同一に考えるのではないと注意があがっていました。取穴法としてよりとりやすいように中封では足関節の背屈、曲泉では膝関節の深い屈曲をしてのとり方がありますが、臨床室で毎度毎度できるとも限らないもので様々な状態を予想して取り方のパターンをみてゆくことができました。手の三焦経でも天井穴では体位の変化で穴が極端に移動するためこの点重視するとともにどのツボをとるにしてもいかなる患者の体位にも対応できるよう取穴は基礎から常に固めておかねばならないと強く感じる時間でありました。奇経治療実技風景
 次に、いつものように腹部を使っての基本刺鍼を行ってゆきましたモデル患者の病態に適した手法は衛気なのか営気なのか予測しその後実際に刺鍼を行い確認します。予測と合わなかった時もベテランの先生のご指導の下一人一人が両方の手法を確認して変化を確認してゆきますので、その感覚をしっかりと手に覚え込み次に繋げることができるのでどのような場合も必ず得るものがある画期的なものだとまた再確認できました。腹部で自己修練を積みあげることはできますが、月に一度の研修会で他者からの意見、助言を頂く事で手法の基礎にずれがあるのならば訂正できる貴重な機会と感じました。

そして、奇経治療の実技に移りました。午前の部に二木先生の奇経講義があったことも含め今回は聴講生のかたも基礎指導の途中ですが奇経実技を学びたいという積極的な意見が出たので皆で行ってゆきました。ここでは奇経独自の取穴法や腹診を確認するだけでなく体験された方皆が即効性と効果の大きさを確認する事ができました。
小里式実技風景

続いては、聴講班が1台基礎班・研修班は混合で2台のベッドに分かれて小里方式を行いました。聴講班は水戸先生、後の二班は小林先生と二木先生が指導されました。今回も問診から初め望診切診とすすめてゆき脈をみてゆきました。脈以外をまず診る事によって得た情報の中から脈状を予測してゆくのですが、漢方鍼の生理病理をしっかりとらえた上で証に繋げていくこととともに、予測と確認を繰り返して感覚を理解し吸収することからイメージすることは幾面にもおいて重要な位置にあることを感じました。                                   
                           
                                    報告ページ担当  若森千明  投稿者 滋賀漢方鍼医会 時刻: 23

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