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「鍼灸師の夢を語れ」 水戸尚子先生


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 佐野先生、生内先生からの素敵な夢の発表があり、エントリーbRの水戸です。生内先生からは笑いも交えてのお話だったので、私は真面目な感じでいこうと思います。



 今回、夢について語ってくださいと小林久志先生からお話を頂いた時、普通の講義ではなくて夢について語って下さいと言われ、どういう風に語ればいいのだろうかと思いました。その時から昨日まで、夢について考えていたのですが、いろいろと考える中でふと『夢と目標をどう区別すればいいんだろう』と思いました。夢といっていいものなのか、目標といったほうが適しているものなのか、と疑問に思ったので、国語辞典で調べてみました。それによると、


【夢】:実現したい理想。(理想とは、最も完全なものとして人が心に描き求めるもの)


【目標】:行きつこうとして設けた目当て。


と説明がされていました。調べてみたところ、その時まで私が夢としてこういうことを語りたいなと思っていたことは目標といえるのかなぁと思ったりして、では何について語ればいいのだろうと頭がごちゃごちゃになってしまいました。そのあたりの夢と目標とを混ぜながらですがお話させて頂きたいと思います。

 鍼灸大学に入学した頃の私は、鍼灸治療が自分でできたらすごくいいだろうなと漠然と思っていました。もともと医療系の仕事に携わりたいという気持ちはあったのですが、どうも血を見るのが苦手で、学校の交通安全教室で事故のスライドを体育館で見なければいけない時には目を覆ってしまうほどのスプラッタ嫌いなんです。そんなときに、リクルートの職業別の仕事紹介本に鍼灸師のページがあり、ハリと灸で人を治すということに対して、すごく不思議でわくわくした気持ちになりました。そのページには開業意鍼灸師の方のインタビューも載っていて、読んでいるうちにこの仕事をしたいなと思いました。大学に入学後、大学の先輩の紹介で滋賀漢方鍼医会を知って、勉強会に参加するようになりました。その後、二木先生のところでお世話になることができ、無事卒業させて頂いて、無事去年に開業できました。

 その間、大学時代のことですが、後輩や友達と話している中で、たまにですが夢について語ることがありました。ある日、同じアパートに住む後輩の部屋に遊びに行った時に将来はどんな風に考えているのかと話になり、その後輩が「私は海外に行ってセクシーな鍼灸師になるんだ」といいました。セクシーな鍼灸師というのが未だに疑問ですが、とにかく、アメリカだとかそんなふうに海外を視野に入れて将来を考えているんだなと感心しました。また別のとき話すと今度は「昼は鍼灸院をやって、そこで夜にはバーをやりたい」ともいっていて、なんて自由な発想なんだろうかとまた感心すると同時に、私にはそこまで具体的な夢がないなぁと思いました。ちょっと変な話でしたが、そんな話を今回このお話を頂いたときに思い出しました。

 そして、ふと他の先生はどうなんだろうと気になりました。滋賀の岸田美由紀先生は、何年か前の新年会で「本を書く」という目標を掲げられておられた通り、実際に本を書かれて出版されました。私はその当時、ベテランの先生も常に目標を持っているんだなと考えさせられたことを覚えています。これは先週の話になるのですが、漢方鍼医会本部研修会後の懇親会に出席させてもらったので、お酒の席ということもあるしと、軽〜くいろいろな先生に「夢ってありますか?ありましたか?」と聞いてみました。池田政一先生が講演にこられていて懇親会にも出席されていたので、よしっと思い立ち、写真を撮ってもらいながら池田先生にも「夢ってありますか?」と聞いてみました。「夢か?なんだぃ?そんなん急に言われても」とホロよいながらも池田先生は「私は東洋医学の理論と実践を実行するというのを常に考えてやっていますよ」と丁寧に答えてくださいました。「本を書くのも夢だったのですか」と聞くと、「その過程の中で本が書きあがっていったんだ」と言っておられ、高い目標が一つあるとそれに向かって進んでいく中で、何かしらのすごいものが生まれていくのだと教えていただきました。また、新会長・天野靖之先生は「鍼灸師になった頃からずっと、患者さんを治したいというのを思っているなぁ」と答えてくださいました。その後、二次会の帰りには前会長の福島賢治先生と電車の方向が一緒だったこともあり、聞いてみますと「酔っ払ってんのか?」と心配されてしまいましたが、「福島弘道先生の鍼を楽しんでできるという境地まで達することができたらいいね」と話してくれました。こうして今回、いろいろな先生に夢について聞くことができたのですが、聞かれてすぐに答えられるということは夢や目標というものをずっと持っているということですので、私も常に夢を持ち続けていきたいなと思いました。

 それから一週間、今度は自分の夢について考えてみました。佐野先生、生内先生も言っておられましたし皆さんもそうかと思いますが、生涯鍼灸師であるということは私の夢の一つです。二木先生の下で修行中、治療中などによく話が出ていたのですが、生涯鍼灸師であると同時にピンコロの人生が夢です。最後まで鍼灸師として元気に働いて最期の時にはコロッと逝きたいと思っています。あとは、結婚もしたので、現在の研修会では育児中の人が安心して研修会に参加できるような環境が整い初めているという恵まれた状況を利用させてもらって出産して母になっても鍼灸師としてずっと仕事をしていけたらいいなと思っています。

 本部に行くようになったのが四年前の養成講座開講の時だったのですが、その頃、本部で講師を務めている先生方がすごく立派に見えまして、私もあんな風になりたいとこっそり思っていました。そんな中で今回、入門講座講師という立場に抜擢していただけたことはとても光栄で、同時に夢が一つ叶ってとても嬉しいです。講師という夢が叶った今後の新たな夢として、師匠である二木先生のように笑いも取れる講義ができるようになりたいなとも思っています。次の目標としては、漢方鍼医会や滋賀漢方鍼医会でもテキストがありますが、それらの作成・編集などの要員として召集してもらえるようにもなりたいです。

 身近な夢の一つとしては、関東での鍼灸治療の普及を目指したいと思っています。結婚して関東に引っ越して開業をしたわけですが、関東では関西に比べて鍼灸治療の認知度が低いという印象を受けました。大学にいたころからその傾向があるらしいということは時折耳にしていましたが、一部の人を除くと鍼灸治療が身近でないのです。小児鍼の認知度も低く、HPで調べる人も少ない上に若い患者さんの中には知らない人もいたので、HPで小児鍼の記事をアップするなどしたところ、年明け頃から少しずつ問い合わせなどが増えてきました。小児鍼に来たお母さんに話を聞くと、おばあちゃんに教えてもらったのでインターネットで調べてきたという人が多くいました。そのような点から、もっと鍼灸治療や小児鍼の情報発信をして行くべきだと実感しました。そして今、その取り組みの一環としてスキンタッチの普及を目指しています。


 以前に滋賀漢方の講義で飯田寿先生がスキンタッチ会のことを発表されていたことがありますが、ちょうどその頃に伝統鍼灸学会のブースで徳島県鍼灸師会の先生がスキンタッチの紹介をしておられたのを知っていたので興味深く聞いていたのを覚えています。スキンタッチはもともと徳島県鍼灸師会の方がスキンタッチ会を発足して活動していますが、調べてみたところ関東にも東京スキンタッチ会という団体があり、早速去年の秋に夫婦で入会しました。スキンタッチ会は鍼灸師の集まりで、特に女性鍼灸師が多く在籍しています。スキンタッチの普及を通じて小児鍼の普及・鍼灸治療の普及も目指して活動している団体です。スキンタッチとはどういうものか説明しますと、東洋医学をベースとした小児鍼を家庭でできるようにアレンジした健康法で、スプーン・歯ブラシ・ドライヤーを使って、小児鍼でいう鍼と灸の効果を得ようとする健康法です。スキンタッチ会に入会して講習を受ければ、各自で教室を開催してもよいということになっており、自分の治療室でスキンタッチ教室を開催できます。私は秋に入会したので、早速今年の二月に、友人がサブリーダーをやっているママさんサークルと連動企画でスキンタッチ教室を主催しました。会場の都合で10組までと募集をかけたところ、スキンタッチが鍼灸治療を元にした健康法であるということに興味を持ってくれた方が多く、すぐに定員いっぱいになりました。参加してくれた親子は0歳児から幼稚園に通うくらいの子までの10組だったので若いお母さんが多かったのですが、若い人でも呼びかけや情報で興味を持って反応してくれるんだなと実感しました。HPにもスキンタッチのことを書いてあるのですが、そこからの問い合わせも増えています。小児鍼治療で来院してくれている方には、家庭での健康法として治療との併用を進めていますが、やり方が簡単でスキンシップにもなるので評判は良いです。
そのようなこともあり、現在の私の目標として、スキンタッチと小児進鍼の普及ということがあります。良く言われていることですが、子供が来ればその子の家族が鍼灸治療の良さを知って治療に興味を持って来てくれます。ですから、スキンタッチの普及は、小児鍼だけでなく鍼灸の良さを世間一般に広く認知してもらえることにつながり、鍼灸界全体の発展にもつながります。鍼灸治療が普及すれば、鍼灸治療が良いと思う患者さんが増え、何より鍼灸が良いと信じてくれている人の方が治療効果が出やすいというのも事実ですから、いいことだらけですよね。


 いろいろと話して長くなりましたが、最終的には、何か体の不調を感じた時に「何かおかしいなぁ、鍼灸院行ってこようかな」と選択肢に鍼灸ありきで生活してもらえるのが夢です。それも含め、そのために私が今できることは、スキンタッチの活動を積極的に進めていくことではないかなと思っています。漢方鍼医会でもスキンタッチ会の活動に共感してもらえる方を見つけて仲間を増やしていきたいとも思っています。

 他に私の細かい夢を三つほど言いますと、


・今はテナントを借りて鍼灸院をやっているので将来的に一戸建ての鍼灸院を持ちたいということ、


・二木先生のところのように「二木さん行ってきな」と紹介されるような、あそこに行ったら大丈夫と思ってもらえる鍼灸院にしていきたいこと、


・将来的には助手も取ること
があります。これらの夢については、コツコツと勉強を続け、患者さんのために鍼灸師としても人間としても成長する必要があると思うので、あきらめずに頑張りたいと思います。

 以上で私の夢についての発表は終わりです。最後までどうもありがとうございました。今回、夢について改めて考える機会を与えてくれたことに感謝します。最後に、この機会に皆さんも夢について考えてみてはいかがでしょうか?


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